ランキング1位の iPhone は、発売日にコピー&ペーストができなかった
2007 年 6 月 29 日に発売された iPhone には、これができなかった。
サードパーティアプリを動かすこと。文字をコピー&ペーストすること。動画を撮ること。写真メールを送ること。3G につなぐこと。
価格は 4GB モデルが 499 ドル、8GB が 599 ドル、しかも AT&T との 2 年契約が必要だった。同時期に売られていた BlackBerry、ノキア、Windows Mobile 機、Palm Treo は、上の五つのほとんどをこなした。五つ全部できるものもあった。
私が 99 のプロダクトを採点したランキングで、この機械が 1 位、総合 98 点である。
6 項目で、失点はわずか 6 点
| 項目 | 点数 | 根拠 |
|---|---|---|
| 独創性 ORG | 99 | 全面静電容量タッチ + ソフトウェアキーボード。以後すべての携帯はこの形になった |
| スケール SCL | 99 | 累計出荷は十億台単位(アップルは 2018 年度の 14.7 億台を最後に開示をやめた) |
| インパクト IMP | 99 | ノキアは約 50% から 1% 未満へ、BlackBerry は 43% から 0.0% へ |
| 体験 EXP | 98 | 後述。実際に体験上の大失敗をやっている |
| ビジネス BIZ | 99 | 2026 年度上位 9 ヶ月の iPhone 純売上 1965 億ドル、前年比 +22.4% |
| 持続 DUR | 96 | 19 歳、まだ売れている。だがコカ・コーラの 140 年には遠く及ばない |

体験で引いた 2 点は言葉尻の話ではない。コピー&ペーストは、iPhone 発売からまるまる 2 年後——2009 年 6 月の iPhone 3GS でようやく実装された。動画撮影と MMS も同時である。もっと重いのは 2012 年、アップルが Google マップを自社製に置き換え、その出来がひどくてクックが公開の謝罪文を出し、その中で「当面は競合のマップを使ってほしい」と書いた件だ。体験で 99 点を取る製品は、これをやらない。
持続で引いた 3 点は、この項目の設計上そうなるというだけで、含むところはない。この軸が報いるのは「時間に証明されたこと」である。コカ・コーラは 140 年、クレジットカードは 68 年、コンテナは 70 年生きている。iPhone は 19 年だ。今はきわめて健康だが、先行する製品たちが通ってきたものを、まだ通っていない。
当時の競合が言ったことは、事実としては全部正しかった
2007 年、当時マイクロソフト CEO だったバルマーはカメラの前で笑い、iPhone を「500 ドル、しかも契約補助込みで。世界で一番高い携帯だ」と評し、「キーボードがないからビジネス顧客には響かない」と付け加えた。結論はこうだった。「iPhone が意味のあるシェアを取ることはありえない。ありえない。」
分解すると、バルマーが述べた事実はすべて正確だ。
- 実際、当時最も高価な携帯の一つだった
- 実際、物理キーボードがなかった
- 実際、法人市場での優位はゼロだった——当時の企業標準は BlackBerry である
- そして実際、売れていなかった。発売 68 日後、アップルは 8GB 版を 599 ドルから 399 ドルへ、三分の一値下げした。既存客は激怒し、ジョブズは公開謝罪のうえ全員に 100 ドルのストアクレジットを配った
発売 2 ヶ月で三分の一値下げし、創業者が謝罪文を書く。どんな振り返りでも、これは良い兆候ではない。バルマーが見ていたもので、偽物は一つもなかった。
彼が間違えたのは、それらの事実を結末だと考えたことだ。高すぎる、キーボードがない、法人に弱い、売れていない——上のどれも直せるものだった。価格は下がる。機能は足される。法人市場は、社員が持ち込む端末によって少しずつ侵食される。
ジョブズ本人も、いちばん大事な部分を間違えた
今日の iPhone を iPhone たらしめているのは App Store である。そして App Store は当初の設計に入っていなかった。あれは追い込まれた末の方針転換だ。
2007 年 6 月の WWDC、iPhone 発売の 3 週間前。ジョブズが開発者に示した答えはウェブアプリだった——Web 2.0 と AJAX で書き、Safari の中で動かす。彼はそれを「sweet solution」と呼んだ。ネイティブのサードパーティアプリを開放するつもりはなかった。
開発者は納得しなかった。反応はほぼ一様に否定的で、脱獄コミュニティは自分たちのやり方でネイティブアプリを入れ始めた。
4 ヶ月後の 2007 年 10 月 17 日、ジョブズはアップル公式サイトの Hot News に公開書簡を出し、SDK を作ると発表した。原文はこうだ。「私たちは iPhone 上にネイティブのサードパーティアプリを望んでいる。2 月に SDK を開発者の手に届けるつもりだ。」
SDK は 2008 年 2 月に、App Store は 2008 年 7 月 10 日に公開された。
2026 年 1 月時点でアップルが公表している数字は、開発者が App Store から累計 5500 億ドル以上を得た、である。

私はこれを、あの壇上の 90 分よりずっと重要だと思っている。この惑星で 1 位のプロダクトの、いちばん価値のある部品は、創業者が公に否定し、ユーザーと開発者に押し返されてから作られたものだ。
いわゆる先見の明は、ここで一度機能しなかった。効いたのは別のことだ。彼は認めた。「ウェブアプリで十分に甘い」と公に言ってから、「SDK を作る」と公に書くまで、4 ヶ月と数日である。
正しかった一つは、あとから取り返しがつかないものだった
ここまでを並べると、少し直感に反する結論になる。iPhone が最初の 18 ヶ月で間違えたことは、すべて後から直せた。
機能は直せた——コピペは 2 年遅れ、MMS も 2 年遅れ、3G は 1 年遅れで、全部足された。価格は下げられた。2 ヶ月で下げた。エコシステムは反転できた。4 ヶ月で舵を切った。
正しかったのは一つだけだ。物理キーボードを廃し、前面全部を静電容量マルチタッチの画面に明け渡し、キーボードは必要なときだけソフトウェアに描かせた。
これだけは、競合に取り返しがつかなかった。
なぜならそれは機能ではなく、形だからだ。ノキアや BlackBerry が追随するのは、モジュールを足すこととも、ファームウェアを配ることとも違う。製品ライン全体、サプライチェーン全体、ソフトウェアスタック全体、そしてその中心にあるアイデンティティ——「うちのキーボードの打鍵感は世界一だ」——を、まとめて壊すことを意味した。
数字は率直だ。ノキアは 2007 年に携帯市場の半分近くを持っていた。2013 年にスマートフォンシェアは 5% を割り、2024 年には 1% 未満になった。BlackBerry は 2010 年の 43% がピークで、2016 年以降ずっと 0.0% である。
プロダクトは多くを間違えてよい。正しかった一つが、不可逆でありさえすれば。
逆もまた成り立つ。そしてこちらの方が、ものを作る側には役に立つ。たくさんの項目で先行できたとしても、その先行のどれもが競合のアップデート一回で並ばれるなら、足し合わせても堀にはならない。生死を分けるのは、相手が自分自身を壊さないと追随できない一つがあるかどうかだ。
なぜ 99 ではなく 98 なのか
ランキング 2 位は Google 検索の 97 点。iPhone が上回っている 1 点は、独創性と体験にある。
それでも 99 を付けなかったのは、上の二つの減点があるからだ。2012 年にマップを CEO の謝罪が必要なレベルで出した製品は、体験で満点に届かない。そして 19 年しか生きていない製品は、1853 年の安全エレベーターや 1886 年のコカ・コーラを収めたランキングの中で、持続に満点を付ける時期にまだ来ていない。
それは今 1 位である。だが 1 位と満点は別のことだ。
採点方法はランキングのページに全部書いてある。各項目 0–99 点、加重して総合点、総合点の降順で順位。すべての項目の採点と順位付けは Claude(AI)が行っている——項目・重み・収録基準を決めるのが私で、採点は Claude が独立して行い、本編の取材が深まったら戻して微調整する。
書き終えて自分に残った問いがある。2007 年 6 月の「ウェブアプリで十分に甘い」に誰も反対せず、App Store が 3 年遅れて出ていたら、iPhone は今日も 1 位だっただろうか。私の直感は「ならなかった」だが、この判断は検証できない。問いのまま置いておく。
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